
人間の耳というのは大変いい加減なもので、より大きな音を良い音だと錯覚する性質があるらしい。
なので世に出ている音楽の大半は録音したそのままの音ではなく、コンプレッサーやリミッターを使って音を圧縮し、メディアの許容する音量の限界寸前まで大きく聴こえるように加工されている。
……が、それもまだCDとかが主流だった太古の昔のお話。
ラウドネス・ノーマライゼーションなる音量自動調整機能が標準搭載されたストリーミングサービスが台頭するにつれて、音を荒らさないように慎重にコンプやリミッターを多重がけしてせっかく稼いだ音圧も無効化されるようになり、ラウドネス戦争は終結した。
音の実際の大きさである単位にdB(デシベル)があるけど、それとはまた別に人間の聴感を基準にしたLUFSという値が存在する。
いわゆる音圧とかラウドネスとか呼ばれるやつです。
dB値が低くてもLUFSの値が大きければ大きいほど音圧は高く、実際に大きく聴こえる。
そのLUFSもさらに計測時間の長さで Momentary, Short, Integrated の3種類あって、具体的な計測時間は Momentary 0.4秒、Short 3秒、Integrated 曲全体、らしい。
具体的にラウドネス・ノーマライゼーションがどのLUFS値を基準にしてるか調べたところ、ニコニコ公式ページに「Integrated」と記載があった。
曲全体のラウドネス平均で判断されるので、ダイナミクス(音量の抑揚みたいなアレ)を犠牲にしてまで音圧を稼ぐ必要がなくなったというわけだ。
YouTube公式の推奨LUFSは-14らしいが、ニコニコみたいに具体的な説明ページは見当たらず、詳細は不明。
サブスク音楽配信サービスはまだ曲を公開していないので今回は検証の対象外だが、Spotify公式ページに -14LUFS (integrated)って書いてあった……気がする。
公式の情報をそのまま鵜呑みにするなら -14LUFS が最適解なんだろうけど、ちょっと前にXでDTMerのフォロワーさんが実際何LUFSくらいで曲をアップロードしてるのかアンケートをとってて、-8 ~ 10LUFSくらいって人も少なからずいたので、実際に検証してみることにした。
まずLUFS値(Integrated)を -7、-10、-14くらいにした同じ曲のサンプルデータを用意する。
それらをニコニコとYouTubeにアップロードし、PC上で再生させて録音し、再度LUFS値を計測してみる。
サンプルは完成したばかりのぼくのオリジナル曲。
夕立Pの終末コンピに出すやつなので、年末に公開予定です。
-7 LUFS のテストデータ波形(ReaperでWAV書き出しした時のスクショ)。
-10 LUFS のテストデータ波形。
-14 LUFS のテストデータ波形。
まずはYouTube。
元データ -7 LUFS
再計測値はリミッターに削られないようにわざと低めに設定してある。
元データ -10 LUFS
元データ -14 LUFS
検証結果:YouTubeではラウドネス・ノーマライゼーションの影響をほぼ受けない。
ただ、YouTubeの設定を確認したら音量の自動設定機能がオフになっててグレーアウトしてた。
ぼくはYouTubeプレミアム課金はしてないんですが、YouTubeプレミアム限定の機能なのだろうか?
次にニコニコ。
こちらは音量の自動調整が切り替え可能だった(プレミアム会員だから?)。
まずは自動調整ONで検証。
元データ -7 LUFS
元データ -10 LUFS
元データ -14 LUFS
検証結果:元データのラウドネスに関係なく同じLUFS値になるように調節される。
今度は自動音量調節をOFFにしてみる。
元データ -7 LUFS
元データ -10 LUFS
元データ -14 LUFS
検証結果:ラウドネス・ノーマライゼーションの影響なし(当り前)。
結論。
音量の自動調節ONにする人とOFFにする人のどちらをターゲットにするかで最適なラウドネス値は変わる。
実際音量の自動調節切って聴く人ってどのくらいいるんだろうね。
ぼくはあんまり爆音で音楽聴かない派なので日頃は自動調整ONにしてます。
まあバランスをとって -10 LUFS くらいで投稿するのがいいんじゃないかって気はした。
つまりだいたい今まで通りですね。
そんなこんな!
こんにちは。ENINことお好みPです。
先日9/15に弦巻マキちゃんの誕生祭があったので作品を投稿してきました。
今回は2Dアニメに初挑戦。
今までの2DMVは1枚絵をどうにかこうにかして動きを出していくスタイルだったんですが、絵が動かない分、文字アニメーションやエフェクト、フリーの動画素材とかで無理矢理動きを作っていたのでやっぱキャラ自体を動かしたいな、と思ってました。
お絵描きにはクリスタことクリップスタジオを長年使ってるんですが、イラストだけでなくアニメを作る機能もあって、今回はそれを使用しました。
前後のセルを透過表示できたり、描いてすぐ動作テストできたりで、単に1枚絵をたくさん用意して動画編集ソフトでつなげるより全然効率的です。
けっこう余裕を持って投稿するつもりが弦巻マキちゃんのお誕生日の23時59分というギリギリすぎる投稿となってしまい、我ながらスケジューリングがガバガバだなと反省。
曲についてなんですが、モチーフはアメリカをチャリで放浪してた時にカンザス州の小さな村に住むお姉さんに声をかけられ、一晩泊めていただいたという実体験が元になっています。
家に狩猟用? の銃が飾ってあって、実際に撃ってるところは見てないのですが、大草原で馬に乗りながら銃を構える姿を勝手に思い描いてました。
冒頭の風のような効果音は実際にカンザス州の大草原で録った動画から使ってます。
地平線まで広がる大草原でずっと向かい風でチャリ漕ぐの大変だったな(笑)。
当時の写真。
制作については今回あまり時間がなかったので、以前使ったマキちゃんお好み焼きダンスのプロジェクトをテンプレ化して流用。
SERUMが古いw
SV2にアプデしてかなりパワーアップしたマキちゃん。
新ボーカルスタイルのWhisper, Cute, Grungeが追加され、大人っぽい声からロリ声、中性的なイケボと割と何でもいける感じになった。
MVに思いの外時間がかかってミックスとマスタリングをだいぶ省略したので、今聴くと音がちょっと荒削りに感じるのは悔しいところ。
でもまあ締切までに仕上げる力も実力のうちかと思うので再投稿はせず次回以降の教訓とします。
逆にいえばミックスとマスタリングに時間を割いてきっちり曲を完成させてたらたぶんMVが間に合ってなかったので、曲と動画を並行してバランスとりながら進めてて良かったなと。
もっと余裕持って作れてたらそんなことする必要ないんだけど、余裕持ちすぎると他の曲に浮気しまくって結局ギリギリになるのでどうしようもない。
計画遂行能力に致命的な欠陥を抱えながらもう何十年も創作を続けてきているので、たぶん死ぬまでこのままなんだろうが構わず突っ走ることにします。
迷子のままでも進みたい。
そんなこんな!
XやBlueskyでもちょくちょく書いてるけど、SNSであんまり思想ばかり垂れ流してもうんざりだと思うので、ぼくの日記帳であるここに書き殴ります。
SNSで良く燃えるトピックTOP3(当社比)には入るAIのお話。
当サイトやSNSのプロフにAI学習禁止と書いてますが、作品をぼくの知らないところで勝手に鑑賞以外の用途に使わないでくれって意味で、無断利用禁止と同義です。
AI自体は生活や創作活動をより便利にするためのツールとして発展していってほしいと思うし、創作プロセスを効率化してイメージをより素早く形にできるなら使いたい。
Mid Journeyとかの画像生成AIやSUNO AIといった音楽生成AI、ChatGPTも試してみたことはあるし、作品の土台やアイデア出しに利用できそうだな、と思った反面、学習元が明らかにされておらず、無断学習によって成立するのとジブリ風等特定の絵柄を再現できるのは問題があるとも感じたので今は使ってません。
AI自体が良くないっていうよりは絵や音楽、文章に限らず著作物の無断利用は良くないよね、という考えです。
Synthesizer VとかVoisonaみたいにちゃんと学習元の声優さんに対価を支払って許可をとった上で実用化されたクリーンなAIはむしろガンガン使います。
ボカロの調声わけわからんし。
これはあくまでぼく個人の思想とこだわりなので、他の人に生成AI使うなとか押しつける気はないです。
最近Xでどっかの市の公認VTuberが「画像生成AIを使う店とは距離を置く」といった旨の発言をして炎上してたけど、応援すべき市民のお店を個人の思想や好き嫌いで勝手に選別していいわけない。
自分の住んでる町の看板キャラクターが「ヴィーガン食とかハラール食を出さない店とは距離を置く」なんて言ったらぼくも嫌だし、個人の思想やそれに伴う行動は市の看板を返上してからやるべきだ。
ましてや車折神社のケースのように放火予告するやつなんてただの犯罪者でしかない。
閑話休題。
生成AIユーザーにも色んな人がいると思う。
単に玩具として遊んで楽しむ人もいるし、一部のボカロPのようにMVに使ったりとか作品作りに利用する人もいる。
特にイラスト生成AIについては子供の頃から絵を描いてるからか、AIを使ってると本人が公言はしてなくても「AIだな」ってのは何となくわかる。
何か人が描いた感じがしないというか。
不自然なくらい整ってるかと思えば、人間がしない間違いをしていたりもする。
人それぞれ思想も事情も違うし、現行法律で禁止されているわけでもないので、生成AIの使用自体を止める権利は誰にもない。
どこかの有名クリエイターの模造品を作って販売するとか、声優さんの声を取り込んで作ったAIを勝手に配布したりとか、デマや詐欺に悪用するのはまた別の法律の話。
使い方の問題でしかない。
AIが生み出す絵が好きという人も中にはいるかもしれないし、どっかの絵のコンテストの入賞作がAI製だったって話もあるから、根気よくガチャを回し続けたりプロンプトを工夫すれば傑作を生み出すこともあるのだろう。
でもね。
絵も音楽も両方自分で生み出してるぼくが何よりも声を大にして言いたいのは、
自分で作る方が楽しい!!!!!
ってことです。
絵を描くのも楽しいし、音楽を作るのも楽しいよ。
生成AIで遊ぶのも楽しいかもしれないけど、一度自分で生み出す楽しさ、喜び、完成させた時の達成感や充実感を味わってほしい。
ぼくの人生は創作に支えられている。
創作が楽しくて仕方がないし、ぼくの作品で喜んでくれる人がいるから苦痛でしかない労働も頑張れる。
嫌なことばかりの世界を生き抜いてやるってガッツも湧いてくる。
もしくが生まれ変わって今よりももっと良い作品を生み出すAIがあったとしても、ぼくは自分で作品を作り続けるだろう。
己の性癖を詰め込んだキャラを生み出したり、己の性癖を細部にまで反映した推しの絵を描いたり、好きなリズムやコード、音色、そして推しの声を使った曲を作る。
最高すぎる。
この記事も作りかけの新曲をヘビロテ(繰り返し聴くこと)しながら書いた。
ぼくの曲は最高なのでこのサイトの音楽ページからぜひ聴いていってください。
気に入ったら高評価、チャンネル登録いてくれたら泣いて喜びます。
そんなこんな!
未管理著作物裁定制度、という制度が来年施行されると最近知った。
詳細は文化庁の告知を見てほしい。
どういう制度なのか簡潔に述べると、JASRACみたいな著作権管理団体が管理してなくて、利用条件が明示されていない著作物について、作者へ連絡がつかない場合は自由に使ってええで、という制度である。
上記のサイトの「4.改正法Q&A」の最初にまるっとこんな感じの記載があってぶったまげた。
いや、許可が取れないなら使うなよ。
裁定の際には国に13800円の手数料を払うという話も見かけたが、上記のページには記載されておらず詳細は不明。
文化庁はクリエイター側のメリットとして、勝手に使われた場合でも名乗り出れば対価として報酬を受け取ることができるという。
著作権者もその利用ニーズがあることに気づいていなかった著作物等の利用を促す狙いがある、と。
正直余計なお世話である。
作品を誰かに使ってほしいならクリエイターは窓口を設けるなりガイドラインを公開するべきだし、使いたい側もそれを探すべきだ。
国が勝手に決めた金額で勝手に使われるとか嫌すぎる。
作者にとって望まぬ利用のされ方をした場合、後からでも作者が請求して裁定を取り消すことはできるらしいが、利用自体を禁止することはできても、すでに世に出てしまった作品を消し去ることは不可能に近いだろう。
そんなことが、たった14日間メールに返信しなかったというだけで引き起こされる。
詐欺が蔓延る昨今、知らない人から送られてきたメールなんて警戒するのが当たり前だし、迷惑メールフォルダ行きになって放置されることだってあり得る。
裁定取り消しの手続きだって絶対めんどくさいだろう。
無名のクリエイターがどうやって己を作者と証明するのか。
とはいえ、この制度は全ての創作物を対象にしているわけではない。
作者が自身のHPやSNSのプロフなどで作品の利用条件を明確にするだけで制度の対象外となる。
だからぼくの全作品の無断転載、無断利用、AI学習を禁止とします。
このHPの至るところに記載したし、SNSのプロフにも明記した。
残りカスみたいな時間と労力を余計な争い事に使いたくないし、そんな暇があったら創作したい。
あくまで無断でやっちゃだめってことで、ぼくの作品を使って何かしたいという人がいれば、このサイトの連絡フォームやSNS等で問い合わせてくれれば相談には乗りますよ。
ただ、何らかの事情で返信ができなかった場合はNOということで悪しからず。
そんなこんな!
蚊 feat.宮舞モカ
こんばんわ。Eninことお好みPです。
もう1週間近く前ですが、新曲出しました。
そしてボカコレ2回目の挑戦。
2回目ですが、ニコニコに投稿を始めて3年くらいになるので、ルーキーではなくTOP100。
結果ですが、100位入りは果たせず。
観測した最高順位が400台の後半くらい。
やはりTOP100の壁は厚い……
ただ今回はSNSでの広報活動に力を入れた甲斐もあってか、コメント数いいね数マイリス数で過去最高となりました。
応援してくださったリスナーの皆様、ありがとうございます。
ボカコレ期間中のXはまだ見ぬ隠れた名曲を発掘したいってリスナーと、自曲を聴いてほしいってクリエイターの応酬が飛び交ってて熱量がすごかった。
閑話休題。
今回の曲はリスナーの方からサウンドが重くてかっこいいとかそんな音に反して歌詞が蚊に対する憎悪むき出しで面白かったとか肯定的な感想もたくさんいただけました。
単純なので全部真に受けて調子こいて次の曲を作ってます。
今回初投入の Heavier 7 Strings 。
ヘヴィメタル特化というだけあって重くて太っとくて攻撃的なサウンド。
Ample Guitar のストラマーモードみたいなチート時短機能はないけどサウンドはこっちの方が好みかも。
身も蓋もない話だけど、最高の音源と最高のプラグインを使えば最高の音が出るとか考えてる。
ベースとドラムは前回と同じ Ample Metal Ray5 と EZ Drummer の METAL MACHINEを採用。
マスターとドラムバスに毎回挿してる Shadow hills Mastering Compressor Class A。
特にドラムバスにかけた時のパンチ感が好きでずっと使ってる。
トランスはほぼSTEEL固定。
ボーカルはSynthesizer V 2の宮舞モカちゃん。
Powerfulスタイルに全振りしてジェンダー値を少し男性寄りにするとメタルサウンドに良く合うイケボになる。
ボカコレじゃ毎回どのキャラがどのくらいボーカルに起用されてたか集計してる人がいて、今回モカちゃんは5番手だったらしい。
去年の9月頃にデビューしたにもかかわらず可不とかに次ぐ人気になってるのはそれだけ魅力的な歌声だからだと思う。
ちなみにボカコレが終わってから数日後にYouTubeにも上げてみたんだけど、こっちはびっくりするくらい伸びない(苦笑)。
そういや今回はちょっと奮発してニコニ広告もしてみたんだけど、ボカコレ期間中はみんな広告したがるから同じポイント突っ込んでも効果は弱まるらしい。
再生回数は伸びてもいいねやマイリス数がついてこないって話も聞くし、広告に突っ込むなら別のことに投資した方がいいのかも。
いや、もう音源は買わないけどね。
買わないからね……?
そんなこんな!